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■ B型肝炎


【はじめに】
世界におけるB型肝炎ウイルス(HBV)持続感染者(キャリア)の分布は、欧米では人口の0.1%前後に過ぎないのに対し、アジア、アフリカ諸国では3~10%と高率です。日本のHBVキャリア率は1.0~1.2%でこれらの国々の中間に位置しています。キャリア数は日本では約100万人、世界では約3億5千万人と推定されています。主たる感染経路は、血液を介しての感染および性行為感染です。近年、感染者の汗、唾液、尿からもウイルスが排泄されていることが分かり、幼稚園や運動部内での感染も報告されています。
B型肝炎ウイルスの感染により、20~30%が急性肝炎を発症し急性の全身倦怠感、黄疸を呈します。その1%前後は劇症化して昏睡、死亡に至ることがあります。また、肝細胞内にウイルが持続感染し、慢性肝炎、肝硬変、肝臓癌の原因となる場合が報告されています。また、免疫抑制状態下で重症肝炎(de novo肝炎)が引き起こされることもあります。

http://gamapserver.who.int/mapLibrary/Files/Maps/Global_HepB_ITHRiskMap.png

【接種方法とスケジュール】
通常0.5ccずつを4週間間隔で2回、さらに20~24週を経過したのちに1回0.5ccを筋肉内または皮下に注射します。
10歳未満の者には、0.25ccずつを同様の投与感覚で皮下に接種します。
渡航までに期間がない場合:海外のワクチンを用いた研究では、0,7,21日に接種ことで良好な反応が得られています。ただし、抗体価が長続きしないため1年後に追加接種を行うことが推奨されています。

【有効性】
3回接種1~2カ月後に抗HBs抗体をチェックすることが望ましい。約95%の接種者で感染防御に有効な抗体価(10mIU/mL以上)が得られます。
1コース接種後5年で約50%の接種者の接種者で抗体は陰性化すると報告されています。

【安全性・副反応】
極めて安全性の高いワクチンで、重篤は副反応の報告はほとんどありません。接種者の10%前後に倦怠感、注射部位の疼痛・腫脹・纐纈・発赤、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などが報告されていますが、すべて経度で一過性のものです。


【ワクチン接種が必要と思われる渡航者】

  • 開発途上国においては日本のように医療機関における器具の消毒、輸血血液の安全性などが徹底されているわけではありませんので、渡航中の不慮の事故や疾病などで医療機関を受診する可能性がある人。
  • 渡航中に医療行為や救援活動に従事、臨床検査などの血液を扱う仕事に従事する人
  • 詩集・ピアスを入れる可能性のある人
  • 危険なスポーツや冒険活動を行う人
  • 渡航先で性行為に及ぶ可能性のある人